研究者顔負けの調査や観察に基づく細密な昆虫の絵で知られる異色の絵本作家・舘野鴻(ひろし)さん(56)が、福音館書店から刊行予定の絵本「すずめばち」の原画を、23日から平塚市美術館で公開制作する。卵を産み続けて死んでいく女王バチの約40ページの物語を、観衆に見守られながら、8日間で仕上げるユニークな試みだ。
「日本のファーブル」に師事
舘野さんは横浜市出身で、秦野市在住。幼少期から「日本のファーブル」と呼ばれた故熊田千佳慕(ちかぼ)氏に師事し、図鑑や児童書の生物画や解剖図などを手がけてきた。
絵本制作に転じると、生物の行動が理解できるまで観察を重ね、時には専門誌で論文を発表するほどの熱量で作品を発表してきた。2009年に「しでむし」(偕成社)でデビュー。16年の「つちはんみょう」(同)が小学館児童出版文化賞を、23年の「どんぐり」(小峰書店)が日本絵本賞を受けるなど、多くの話題作を送り出している。
今回は、顕微鏡や標本を片手にアトリエにこもり、原画を1枚描くのに1カ月かけるいつもの手法ではなく、勢いのある筆跡を残し、1枚2時間で仕上げていくアクリル画に挑戦するという。
カンニングではなく
「手本を見ながらの『カンニ…